看護管理者向けコラム
「種を蒔き、花開く喜びを味わう」看護管理の楽しさ

ある大学で教員をしているかつての部下が、私の顔を見つけるなり飛んできました。「川﨑部長さん、とても嬉しいことがあったんです」「お会いしたら、お伝えしたかったんです」と嬉しそうに話し始めました。彼女の話によると、同僚の教員の送別会で、その教員が挨拶の中で、「自分が看護大学への進学で悩んだときに、勤めていた病院の看護部長さんが、『学ぶことは大切なこと、学んだことは人から盗まれない、あなたの財産になる』その言葉に勇気をもらって、学びを続けてきて今の自分がある。これからも教員として、学生との学びを大切にしたい」と話したというのです。「その時の部長さんが川﨑部長さんだって知って、自分のことのように嬉しくなりました。」
自分が看護管理者として、その時々にスタッフと向き合ってきたことが、最近になって、間違いではなかったと思える出来事があります。ずっと昔に蒔いた種が、自分でも蒔いたことすら忘れている間に、大きな木となり立派な花を付けた感じです。看護管理の醍醐味は、もしかしたらすぐ結果が出ると言うよりは、時間が過ぎてからじわじわと現れるものなのかもしれません。
私は自分の著書『はたらく看護師のための自分の育て方』の中で、「生まれ変わっても看護師になりたい」と書きました。その気持ちは嘘偽りのない気持ちです。看護を通じて、たくさんの患者さんやスタッフと出会い、自分が成長できたと感じています。改めて、看護の魅力を振り返って見ると、看護は常に「仮説検証過程」だからです。自分が学んだことを総動員して、目の前の患者さんに行ったとしても、それが必ずしも患者さんの問題解決に繋がるかどうかはわかりません。全ては仮説検証過程です。だからこそ、行った看護をリフレクションして、深く考える必要があります。うまくいかなかったときは、何故うまくいかなかったのかを振り返り修正する必要があります。うまくいったときは、何故うまくいったのかを深く考える必要があります。その中から紡ぎ出された概念こそが、他者に伝えることができ、次の看護に繋がるものだと考えます。
そして、生まれ変わったとき、どの職位につきたいかと言えば看護師長です。看護師長は、患者さんとスタッフの両方に直接関わることのできる素晴らしい職位です。部署ラウンドなどを通じて、患者さんやご家族とお話をする中から、問題点を総合的に判断することができます。その情報をスタッフと共有して、患者さんの問題解決にあたることができます。また、スタッフとの対話を通じて、スタッフの成長を直接的に支援し、見守ることができます。スタッフの育成に関わることができるのも、とても素敵な仕事です。看護管理者の皆様には、スタッフがやがて大きな花を咲かせることをイメージして、自分を信じて、種を蒔き続けて欲しいと思います。

自分をひらく、未来をひらく。

