中堅看護職向けコラム
目標を見つけるために必要なモヤモヤ期
看護職に就いていらっしゃる皆様には心からの敬意を表します。
私自身が入院した時も、父の最期を看取った時も、いつも心を慰め癒してくれたのは看護職の方の共感力と的確な対応でした。不安や苦痛を抱えた患者に寄り添いながらテキパキと処置をされていく姿にどんなに励まされたことか‥。
経験上の観点からお話してくれる言葉はお薬以上の効き目があったように感じました。なんと尊いお仕事なのかと何度も思い返しては感謝しています。
ホスピタリティ精神の高い皆様だからこそ、きっとモヤっとすることもおありだと思います。また、どんなお仕事を選んだとしても、新人から中堅時代、そしてベテランへとキャリアを重ねていく中で、誰もがモヤモヤ期を経験することでしょう。
私にとってのモヤモヤ期はいつだったのか定かには思い出せませんが、もしかすると、「はっきりとした目標が定まってない時」にモヤモヤとした気持ちが生まれていたように思います。
「このドラマを観てくれる人に笑顔を届けよう!」「この舞台で感動を伝えたい!」「この作品で多くの人を癒したい!」などと明確なビジョンが決まると、後はただひたすら前進するのみです。
理想に近づけずに落ち込んだり、人と比べて自己嫌悪に陥ったり、未熟な自分を見せつけられ自信喪失することは日常茶飯事ですが、それは目標に向かうために絶対通る道なのではないでしょうか。
反省、修正、練習、挑戦を繰り返し、次のステップに向かおうとしてる時にモヤモヤは起きません。明確な目標のない時、素晴らしいお仕事をしてる人を見て羨ましくなったり、焦ったり、自分の立ち位置がわからなくなって不用意に落ち込んだり、不安や恐れから前進することを拒んだり‥。そんな時にモヤモヤが起きていたように思います。
でも後から考えると、そのモヤモヤがあって見つめ直す時間ができたからこそ、次の目標が見つかるということになるので、モヤモヤ期も必要な時間なんですよね。
モヤモヤする気持ちをSNSで調べたら『心のノイズ』という言葉が出てきました。『退屈な時に起こるもの』、『喜びのない状態』、『新鮮な水が入らなくなった淀んだ池状態』とも。そして、解決策は『本当に好きなことをする』、『旅行に出かける』、『充分に休息、リフレッシュする』とありました。
私は表現するお仕事が大好きです。芝居を観て笑ってもらえたり、泣いてもらえたり、共感してもらえることに喜びや幸せを感じます。
また、五感を通して感動をお伝えする旅ロケも、声だけで表現するナレーションやラジオのお仕事もやり甲斐を感じます。自分の好きなことが誰かの喜びに繋がれば1番の幸せです。
看護の世界は決して綺麗事だけでは語れない、厳しい現場でもあると拝察します。だからこそ患者さんにとって心の救いである皆様が、モヤモヤと上手に付き合いながら幸せでいられることを私は心から願っています。