コラム
人間も組織も家族も習慣の積み重ね 良い習慣を積み上げて幸せに
私の祖母(大正元年生れ)は看護師でした。熱が出ると「おばあちゃんのお布団で寝る権利」を得ます。認知症になって、ベットで過ごすことが増えても、ノートにいつも正の字が書かれていきます。何かとおもったら、自分のトイレに行った回数の記録です。「ああ、若いときは、こうやって患者さんを守っていたのだな。」と、その姿をみて胸が熱くなりました。
私は医師ですが、当院の看護師の皆さま、そして訪問診療を通して協働する地域の訪問看護師、保健師の皆さまを尊敬します。患者様、困っているひとのそばで寄り添い、ケア(繊細なところまで優しく尊厳を尊重しながら)をし、患者だけではなくそのご家族にも、元気、生きる力を引き出します。医師が指示する、薬や点滴だけでは、不十分であることを教えてくれます。
療養環境を清潔に保つ。排泄の支援と、ケアで清潔に保つ。その人を一人の人として、向き合い尊厳が守られることが、どれほど人が健康でいるために必要なことかは、1800年代にナイチンゲールがデータで示して医療の在り方を変えていきました。ケアのプロ集団が皆さんです。
仕事を始めたばかりのときは、全体が見通せず、使える技術、力、知識も不足しているので、環境に翻弄されやすいものです。将来のことばかり悲観し、ふさぎ込みやすくなります。誰でも陥ることであり、優劣はありません。そういう時は、目の前の仕事に集中することです。「仕事」とはそういうものです。
山登りも、最初はふもとの森の中を分け入る所から始まります。この道であっているか?と思っても、一歩一歩、歩を進めると森を抜け、頂上が見えてきます。それでも、突然下りが出てくることもあります。下っているようでも進めると、いつか頂につきます。
〇人も組織も、今の習慣で創られている
早起き(夜勤など不規則な仕事の場合でも、そういう先輩からどう調整しているか聞くとよいです)、挨拶、環境整備・掃除・整理整頓(知識の整理整頓も含む)を、毎日小刻みに積み重ねることは本当に大事です。その積み重ねに集中すると、ある日、自分の態度、発言に力が宿っていることに気づくでしょう。
〇周囲の反応は、自分自身の鏡である
なにかよくないことが起きたとします。その時、自分以外のことに理由を付けやすいものです。そうして、人を変えようとする(人のせいにする)のですが、それは苦しいだけです。自分でなにがあとできるか、と考えて行動すると、結局はそれが自分の糧となり、その時自分を困らせていたことが、そのうち問題ではなくなっていたということも起きます。
良い習慣を積み上げて、幸せを感じることが多くなることを心からお祈り申し上げます。
