看護管理者向けコラム
立場が変わる意味
不思議です。立場が変わると見えてくる景色が違います。とりわけ、リーダー的立場に立つと、その地点の高さから一気に視野が広がり、物事の本質が見えてきます。さらに、責任感まで身に付いてくることも多いように思います。
したがって、どんな職場であっても、リーダー的ポジションを経験した人の存在は実に貴重といえます。
ちょうど、私がある都内の公立中学校の教師を務めていた1980年代前半は、一学年だけでも8クラス、全校24~26クラスという大規模校が多く、学校間抗争も珍しくない非行・問題行動が続発している時代でした。
通常、問題行動を起こすような生徒のいるクラスの担任を務めるのは、生徒指導の経験や力量の豊富な教員、というのがクラス編成の常識です。しかし当時は、どんな新任教師といえども、問題行動を起こす生徒がゼロのクラスを受け持つことなど不可能でした。それほど学校は荒れており、教員誰もに、高度な学級経営の力量が要求されたのです。
そこで私たち教員団が目指したのは、なるべく数多くの力量豊かな教員を養成することでした。
学年主任を長期間同じ教員で固定するのではなく、ちょうど3年1サイクルに限って担ってもらう形にしました。そのことで、より多くの教員が学年主任を経験することになり、より高く広やかな視点から物事をとらえる力、特に生徒分析ができる技量を身に付けていったのです。
こうして何年か経つと、学校全体の教員集団の中に、リーダー的力量を備えた先生が何人も存在する、パワフルな学校になったのです。
そのうち、徐々に問題行動や非行の生徒が多かった状況も改善され、学校に落ち着いた雰囲気が戻ってきました。さらには、運動会や文化祭などの学校行事が毎年、地域の高校にまでウワサが広がるほどユニークで見ごたえのある内容に飛躍していったのです。
今後、ますます少子高齢化が進み、現役世代の人口が急速に減少、看護職員の確保がいっそう難しくなる状況が予想されています。AIの発展や普及が急速に進み、多くの職業がAIにとって代わられていく時流は止まりません。
しかし、人間をケアする仕事や、人間を支援する仕事は、生身の心を持った人間にしかできません。
看護職という、高度なスキルと豊かな人間性が必要とされる専門職に従事される皆さんが、個の力だけでなく、組織の力までもパワーアップさせるような、力量と魅力のあふれる看護管理者に成長していけるよう願っています。

